看護師の特定行為研修は、2025年に向けた「質が高く効率的な医療提供体制」の確保、いわゆる三位一体改革(地域医療構想の実現、地域間・診療科間などの医師偏在解消、医師・医療従事者の働き方改革)の一環として2015年に創設された制度です。医師の指示の下、手順書により特定行為を行う看護師は、特定行為研修を受講することが義務づけられました。
令和元年、香川大学でも急性期から在宅まで地域のあらゆる領域で高度な実践力を発揮する看護師育成に寄与することを目的に、医学部附属病院の臨床教育研修支援部に特定行為研修センターを設置し、令和2年2月26日付で厚生労働省の指定する指定研修機関となりました。令和2年4月から、当院ならびに地域の看護師を対象に特定行為研修を開講しています。
特定行為の実践できる看護師の育成は、医療の安全性および質の向上、チーム医療およびタスク・シフティングの推進、医療従事者の長時間労働の削減に貢献することが期待されています。現在、「在宅・慢性期領域」「外科術後病棟管理領域」「術中麻酔管理領域」の3つのパッケージ研修を開講しています。香川大学医学部は医学教育の推進、医療の発展に寄与するべく、国内でもいち早くスキルスラボラトリー(臨床技能訓練施設)を開設・公開し、卒前・卒後および専門教育を連動させた医療人育成に取り組んできた実績があります。これまでに培ってきた教育基盤をリソースに、県下唯一の大学病院、協力関連施設と協働して、新たな医療に寄与する看護師を養成し、地域医療の質向上に貢献したいと考えています。
今後も、研修体制のさらなる充実、特定行為研修に対する関心を高める取り組みを行っていくとともに、効果的な指導および本院における特定行為実践の推進にも力を注ぎたいと考えています。スタッフ一同努力して参りますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
香川大学医学部附属病院 副院長
泌尿器・副腎・腎移植外科 教授
杉元 幹史
2015年に創設された特定行為に係る看護師の研修は、保健師助産師看護師法に位置付けられた研修制度です。香川大学医学部附属病院は、2020年4月より特定行為研修を開始し、香川県内の医療施設に加えて、県外からも研修生の受け入れを行っております。
医療と看護を取り巻く環境が大きく変化し、看護職に求められる役割も拡大しています。特定行為研修は、専門的な知識とスキルを習得し、安全に特定行為を実施することのできる看護職者を育成することが求められます。そして、高度医療と地域医療、それぞれの医療現場のニーズに応えることのできる高度な実践力と高い倫理観を持ち合わせた看護職の育成を目的としています。
香川大学医学部附属病院の特定行為研修センターでは、特定行為に求められる知識とスキルの習得に加えて、豊かな人間性と高い倫理観を育んでいただけるよう、スタッフ一同で研修のサポートをいたします。この、空気の澄んだ緑豊かな香川の地で、看護実践者として共に学び、共に成長できることを願っております。
看護部長 阿部慈
香川大学特定行為研修センターでは、4つのSを併せ持つ人材を育成します